2016年4月25日月曜日

内縁の妻に住み続けてもらいたい

大阪府豊中市の司法書士の伊東弘嗣です。

 内縁の妻の法的地位については、妻同様の地位を認めつつあるものの、法的に十分に保護されているとはいえません。

 例えば、借家住まいで内縁の夫が死亡した後に、同居の内縁の妻の立場はどうなるでしょうか?

 まず、借地借家法36条がありますが、これは相続人がいない場合です。

第三十六条  居住の用に供する建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合において、その当時婚姻又は縁組の届出をしていないが、建物の賃借人と事実上夫婦又は養親子と同様の関係にあった同居者があるときは、その同居者は、建物の賃借人の権利義務を承継する。ただし、相続人なしに死亡したことを知った後一月以内に建物の賃貸人に反対の意思を表示したときは、この限りでない。
 前項本文の場合においては、建物の賃貸借関係に基づき生じた債権又は債務は、同項の規定により建物の賃借人の権利義務を承継した者に帰属する。

 では、相続人がいる場合に、内縁の妻の居住権を保護する方法はないでしょうか?

 (賃借人が死亡した場合に直ちに内縁の妻との賃貸借契約が成立するとする裁判例もあるようです(東京地判昭27・4・26)。)

 これを考えるに、①借家権は相続財産か否か、②相続財産であるとしても内縁の妻の居住権を保護できないか、を検討する必要があり余す。

 まず、①については、借家権は一般的には譲渡性があるとは言えませんが(∵借地借家法は、借地権の譲渡について代諾許可を認めていない。)、一身専属的権利ともいえないことから、相続の対象となると考えられます(cf.「遺産分割・遺言の法律相談(改訂版)」Q16)。
 次に、②については、相続により承継された相続人の権利を援用することで居住の継続を家主に対抗することができます(最判昭37・12・25、最判昭42・2・21、最判昭42・4・28)。

 もっとも、この場合、内縁の妻の居住権が家主との関係で保護されるとして、借家人の地位が移転したわけではないので、相続人が建物明渡しを求めてきたり、賃貸借契約を合意解除したりした場合には内縁の妻の居住権が保護されなくなってしまいます(なお、合意解除は特段の事情がある場合のほかは援用者に対抗できないとする裁判例もあるようです(東京地判昭63・4・25)。)。

 さて、どうしたらいいでしょうか?

 この点については、専門家の判断が分かれるところだと思います。

 ご相談下さい。

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2016年4月12日火曜日

久しぶりの紙申請

大阪の司法書士の伊東弘嗣です。

不動産登記を久しぶりに紙申請すると、

1 申請書副本をつけ忘れる。
2 申請書の上の余白を開け忘れる。

などのミスをしてしまいました。

困ったモノダナ。

2016年4月9日土曜日

後見人の意思と現実問題

大阪の司法書士の伊東弘嗣です。

後見人は、本人の身上監護の事務を行うにあたっては、本人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければなりません(民858)。

現在施設に居住している高齢独居の方が、どうしても自宅に戻りたいと言っている一方で脚の状態が悪く、歩行能力が低下している。

自宅に戻ればつまづいて倒れて怪我する可能性が高いのに、本人の意思を尊重して帰宅して頂くのか。

このジレンマの唯一の正解はないのでしょうが、悩ましい問題です。

後見制度における本人の意思の尊重についてもっと勉強しないとな。

専門職後見人と身上監護 上山 泰
専門職後見人と身上監護
上山 泰 
http://www.amazon.co.jp/dp/4896286375

2016年4月7日木曜日

民法編移転します。

民法改正の論点もあることですし、民法もこっちに移します。



http://minpouhen.blogspot.jp/

借地借家法関係の移転

なんだか頭が混乱しそうなので、借地借家法関係はこっちに移転します。

http://syakuchisyakuya.blogspot.jp/

本日の登記申請

オンライン申請にこだわるとこうなる。

ノートパソコンからオンライン申請試みるも電子署名できず。

デスクトップで試みるも電子署名できず。

電子署名に不具合が出ている旨の法務局の記事確認。指示に従いデスクトップ(64bit)修正。

やはり電子署名できず。

ノートパソコン(32bit)も修正。ようやく電子署名できオンライン申請。

一部ブックのままの物件があり、オンライン申請取り下げ。

書面申請

という顛末…。

2016年4月6日水曜日

民法復習(権利能力の終期、不在者制度と失踪宣告制度)

司法書士の伊東です。

では、民法の復習を続けます。

<権利能力の終期>
消滅時期
・自然人→死亡
・法人→清算決了時
同時死亡の推定(32の2)
・父子が同時死亡の場合、子は父の相続人にならない(887Ⅱ「以前に死亡」の場合に代襲する)。

<不在者制度と失踪宣告制度>
不在者財産管理人
・法定代理人がいる場合→法定代理人が財産管理人(親権者につき824、(未成年)後見人につき859条)
・不在者自ら管理人を置いている場合→当該管理人(25)
・上記以外の場合→裁判所の選任した者(25)←利害関係人又は検察官の請求による
管理人の権限
・権限の定めのない場合は103条の範囲
・権限外行為には裁判所の許可
失踪宣告制度
・普通失踪と特別失踪
・普通失踪の失踪期間7年、死亡みなしは期間満了日
・特別失踪の失踪期間1年、死亡みなしは危難の去った時
・利害関係人に債権者は含まれない←不在者財産管理人の選任で足りる
・検察官は請求権者に含まれない
・死亡したものとみなされる→家裁の失踪宣告取消の審判
・本人の権利能力が失われるわけではない
・取消事由は、本人の生存、死亡認定時期と異なる時期の死亡(32Ⅰ)、起算点以後のある時期に生存
・取消により宣告は初めから無かったことになる。
・直接利益を得たものは取消により現存利益の返還(32Ⅱ但)善意者のみ(通説←32Ⅱ但は不当利得))。
・善意でなした行為には影響しない(双方善意(判例・通説))。
・転得者の地位は絶対的構成(通説)で悪意でも保護される。
・双方善意の場合、前婚は復活しない(通説)が、それ以外の場合は、前婚の離婚原因(770⑤、継続しがたい重大事由)、後婚の取消原因(744Ⅰ・732、重婚)

今さらに考えると、失踪宣告の最判もなく通説だけの論点は、絵空事だなぁと思います。

借地借家法(借地関係)

大阪の司法書士の伊東弘嗣です。

では、借地借家法の勉強の続きです。

借地法及び借地借家法(借地関係)の対象
・借地の「一時使用」の場合、借地法(借地借家法)の一部の規定は適用されない(借地法9条、借地借家法25条)→この場合、存続期間や更新、解約手続きなど借家人に不利となる。
・「地上権、賃借権」が対象であり、土地の「使用貸借」には適用されない。
・「建物所有を目的」としていれば良く、現に建物が存する必要は無い。もっとも、建物が存しない場合、対抗力や更新の点で借地人に不利。

借地権の対抗力
・建物の登記があれば第三者に対抗できる(建保法1条、借地借家法10条)。
・建物の登記は表示登記で足りる(最判昭50・2・13)
・建物滅失した場合、登記の効力失われ、対抗力は認められなくなる(もっとも、朽廃による滅失の場合は借地権自体消滅する場合がある(借地法2条1項但、5条1項、借地借家法附則5条))→借地借家法にはこの場合の対抗力付与の方法あり(借地借家法10条2項)、これは借地法時代の契約にも適用がある(借地借家法附則8条反対解釈)。
・建保法1条・借地借家法10条の対抗要件を備えていても、借地上建物の競落人は、借地権を土地賃貸人に対抗できない(大判昭7・3・7)。→代諾許可の裁判(借地法9条ノ3、借地借家法20条)。

2016年4月5日火曜日

借地借家法(沿革)

大阪の司法書士の伊東弘嗣です。
借地借家法は司法書士の受験科目でないので、受験後の勉強が必要になります。

当時の地震売買の横行に対し、明治42年「建物保存ニ関スル法律(建物保護法)」成立。建物の登記をもって借地権の第三者対抗力を認める。
大正10年4月8日、借地法、借家法成立。大正11年大阪、兵庫等の府県全部に適用、昭和16年全国的に適用。
昭和16年、更新拒絶や解約申入に「正当事由」が必要との改正。
昭和41年、裁判所の代諾許可制度等の改正。
平成4年8月1日、借地借家法施行。
・借地関係
①存続期間は、堅固(従前60年)・非堅固(30年)にかかわらず、30年。最初の更新後20年、その後の更新は10年。
②法定更新は、すべて建物が存する場合に限る。
③建物朽廃によっても借地権は存続。
④建物再築の際、土地所有者の承諾あれば、存続期間伸長(従前は遅滞なく異議)。
これに対し、更新後の承諾なき再築は存続期間中の解約原因となる。
⑤立退料が正当事由の一要素となる。
⑥更新のない借地権として、定期借地権、建物譲渡特約付借地権及び事業用借地権の新設。
⑦自己借地権
⑧建物滅失の際の対抗力の付与方法(借地法時代の契約にも適用される。)
・借家関係
①更新のない借家権として、賃貸人の不在期間及び取り壊し予定の建物の賃貸借
②造作買取請求権を任意規定に。
③地代・家賃増減額請求を調停前置に。
なお、借地借家法は不遡及が原則(一部例外あり)。
平成12年3月1日、「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」施行。
・賃貸人の不在期間の賃貸借を、定期建物賃貸借に改正。
・民法604条の建物賃貸借への不適用
平成13年、「高齢者の住居の安定確保に関する法律」制定。終身建物賃貸借を認める。
平成20年1月1日、「借地借家法の一部を改正する法律」施行。
・事業用借地権の存続期間を10年以上30年未満とする。
・事業用定期借地権を新設。存続期間を30年以上50年未満とする。

未だ借地法・借家法の時代の契約が残っていることも多くありますので、借地法・借家法の勉強は必須ですね。

民法の復習(権利能力)

権利能力…権利・義務の帰属主体となりうる地位・資格。自然人と法人が有する。自然人であれば出生の時から、法人であれば設立登記の時から。
胎児の権利能力…原則否定。例外は①損害賠償請求②相続③遺贈。としても停止条件説(判例)、解除条件説(登記実務)

ということですが、どんな場面で胎児名義の相続登記をするのか、想像が付きません。
また、相続関係調査の際、胎児の相続を考えておかないといけない場面も想像できません。

ま、でも普段気にしてなかった論点なのでメモメモ✏

2016年4月3日日曜日

建物明渡事件の実務

司法書士の伊東弘嗣です。


今のところ受任したことはないのですが、最近賃貸借契約関係の相談を受ける機会が多くなっていることから、基礎から復習です。


基本書は、「建物明渡の実務と書式-相談から保全・訴訟・執行まで-」(民事法研究会)で、日司連のe-ラーニングの同一タイトルの講義を受講中です。
(なお、建明(建物明渡を自分の周りでは「たてあけ」とよく言います。)本は、上記以外にも加藤新太郎先生の書かれた本もありますが、こちらは今のところ購入予定はありません。)


私の持っている上記書籍は平成19年版ですが、この改訂版が出されるとか出されたとか聞きますが、知りません。


この本、結構汎用性が高いのでおすすめです。